【本校の学校経営理念】

1 脳科学にもとづいた教育方針

(1)「人間力」を育成するコミュニティ・スクールの創造とは

 生徒の「学力・体力」だけでなく、「将来を展望する力(未来志向力)」や「社会に貢献する力(社会関係力)」など、人間としての総合的な力を育成するコミュニティ・スクールを創り出すことです。

 本校の学校経営理念は、脳科学者の澤口俊之氏(著書「『学力』と『社会力』を伸ばす脳教育」)の考え方を参考にしています。

 下の脳地図(左側がおでこ)によると、人間の知能は6種類に分けられ「多重知能」と呼ばれます。ただし、そうして描くと「多重知能」に含まれない「空白」になる領域があります。その領域が「前頭連合野」と呼ばれる部分です。この脳領域こそが「人間らしさ」に関する高度な知能の中心であり、「人間性知能(略してHQ)」というそうです。しかし、これまでの教育においては、あまり強調されることがありませんでした。この「人間性知能」の中心となる能力が、「未来志向力」と「社会関係力」です。「多重知能」と「人間性知能」の関係をコンピュータにたとえると、各種アプリケーションソフトが「多重知能」に相当し、それらをうまく操作するウィンドウズのようなオペレーションシステム(OS)が「人間性知能」に相当します。つまりは、「多重知能」という各種アプリケーションソフトの性能を上げるためには、それを有用なものとして使いこなす「人間性知能」というOSの性能が重要なわけです。 

 そこで、本校では「多重知能」と関係する「学力・体力」だけでなく、「人間性知能」と関係する「将来を展望する力(未来志向力)」や「社会に貢献する力(社会関係力)」までも高めていこうと考えました。また、「未来志向力」や「社会関係力」を高めるためには、学校という閉ざされた空間、限られた人間の中だけで学習しても効果は上がりません。地域に学習の場を求め生徒を学校外に出したり、地域の方を学校の教育活動に参加してもらったりして、地域との連携を重要視せねばなりません。本校は、平成21年からコミュニティ・スクールを推進していますが、まさにコミュニティ・スクールを行う目的は、これまでの学力観を超えて、生徒の「未来志向力」「社会関係力」を育成することに他なりません。 

 具体的な本校の学校教育目標や重点目標、目指す生徒の姿については、次のように設定しています。 

(2)学校・家庭・地域をつなぐ「鍛える教育」とは 

 「目的の設定」→「努力」→「目的の達成」→「より高いレベルの目的の設定」→「努力」・・・という人間性知能育成サイクルをつくり出す教育を、学校・家庭・地域がそれぞれの役割を明確化しながら連携して進めていくことです。

 「鍛える教育」の具体的な方法は、下図のように生徒自身による「目標設定→繰り返し努力→達成感→より高いレベルの目標設定→繰り返し努力→達成感・・・」という「成功体験」の積み重ねを行うやり方です。生徒は達成感を味わうことで脳(前頭連合野)のドーパミン系がより活発になり、さらなる「やる気」という駆動力が生まれます。このサイクルは、「人間性知能育成サイクル」と呼ばれるものです。この考え方を授業や学校行事、部活動等の全教育活動に広げています。

 この「鍛える教育」の最大の意義は、「人間性知能育成サイクル」を身につけさせることによって、将来的に様々な挫折や困難にあっても、自らの目標を見失うことなく、目標はやがては達成できるという期待を抱き、あきらめることなく繰り返し努力する生き方を実現する点にあります。

 また、「人間性知能育成サイクル」の考え方を家庭・地域と連携した取組にも活用しています。

 そのため、コミュニティ・スクールとして、学校の役割を「人間力を鍛える」、家庭の役割を「自立心を鍛える」、地域の役割を「社会性を鍛える」とそれぞれの役割を明確化し、「鍛える」という言葉をキーワードに三者の連携を図る取組を実践しています。具体的な目指す学校像・家庭像・地域像は、下の通りです。

2 学校生活の基盤づくり「晴動雨読」の取組

「晴動雨読」とは 

 通常朝自習が行われている時間帯に、晴天時は運動(ランニング・筋トレ等)、雨天時は読書(英語の多読も含む)を行うことです。

 適度な運動には、次のような効果があることがわかっています。①脳の良好な学習環境を準備する。②気分などストレスを軽減する。③適度な運動はうつや不安を低減する。④適度な運動はやる気を高める。⑤適度な運動は認知や注意の集中力などの機能を活性化する。

 特に、福岡大学体育学部スポーツ心理学の山本勝昭名誉教授(本校学校運営協議会会長)は、「運動」と「気分」との関係を指摘しています。「気分(POMS)」は、「緊張」「抑うつ」「攻撃性」「活性」「疲労」「情緒混乱」の6因子からなります。適度な運動は、「気分」の6因子をよい方向に向かわせ、下図のように精神をより安定した状態に導くそうです。 

 そのため、日常的な運動の習慣化は、学力・体力の向上をはじめ、現在の学校教育における大きな問題点である精神的に不安定な生徒やストレスに弱い生徒を減少させ、本校の「鍛える教育」の取組を支えるものとして期待できます。運動を促す際には、運動種目に変化をもたせ、①心拍数を上げる、②普段使わない筋肉を使う、③できれば朝にやる、という3条件を満たす取組を工夫しています。前期終了までに新校舎完成が予定されていますので、周回コースを設定して多様な運動を促していきたいと考えます。

 また、読み・書き・計算・音楽などは、多重知能をまんべんなく伸ばす方法の一つだと言われていますが、本校では雨天時の朝読書を推進してます。特に、今年度からは、朝読書の時間に期間限定で「英語の多読」を導入していきます。

3 コミュニティ・スクールとしての地域連携の充実

 未来思考力や社会関係力を育成するために、地域に教育活動の場を見出し、職場体験や地域貢献活動など生徒を地域に出していきます。また逆に、福岡女学院大学をはじめとする大学生や地域・保護者の皆様にも、本校における教育活動に参加していただくような地域連携の充実を図っています。 

 昨年度、延べ人数約1400名の生徒が地域行事(職場体験を除く)に参加しました。今年度は、一人3回、延べ人数2100名の参加を目標にしています。また、延べ人数約260名の大学生や地域・保護者の方が本校の教育活動に参加していただきました。今年度は延べ人数約300名の参加を目標にしています。生徒が将来社会の中で生きていくことを想定すると、これまで以上に地域連携の充実を図って、自分の将来に関することや他の人との関わり、社会とのかかわりについて幅広く学んでほしいと思います。

4 学校経営構想図

5 コミュニティ・スクール春日東中の運営組織

6 コミュニティ・スクール春日東中の歩み

 学校運営協議会を設置した学校を「コミュニティ・スクール」と言います。学校運営協議会は、教育委員会から任命された保護者や地域の皆さん、学識経験者などが一定の権限と責任をもって、学校運営の基本方針を承認したり、意見を述べたりすることを通じて、学校の様々な課題解決に参画していく組織です。コミュニティ・スクールの成果としては、一般的に次のようなことがあげられています。

コミュニティ・スクールの成果

○地域全体で子どもを守り育てようとする意識が高まり、多くの保護者や地域の方が学校に協力するようになった。

○地域の行事等に参加する児童生徒が増え、地域が活性化された。

○保護者の苦情が、意見や提案、協力へと変化した。

○児童生徒の中に、よりよい社会の実現に向けてまわりの人と積極的に関わろうとする市民性が育ってきた。

○児童生徒の学習意欲が向上してきた。

 学校・家庭・地域が目標を共有し、一体となって地域の子どもを育んでいくことは、子どもの豊かな育ちを確保するとともに、そこに関わる大人の成長も促し、ひいては地域の絆を強めることになります。平成26年4月現在、全国で1919校(うち中学校565校)が「コミュニティ・スクール」の指定を受けており、コミュニティ・スクールは地域とともにある学校づくりを進める上での有効なツールとして期待されています。

 本校においては、平成21年に学校運営協議会(東中コミュニティ協議会)を設置し、コミュニティ・スクール春日東中を本格的にスタートさせました。現在までに、次のような組織の設置や見直し、連携事業等に努めながら、コミュニティ・スクール春日東中の運営構想について模索してきました。

【これまでの本校の主な取組】

○全校生徒による部伍会組織の設置・地域行事への参加・支援

○職員の校務分掌組織の見直し

○生徒有志によるボランティア部の設置

○保護者・地域の方が参加する東中塾(大人参加型授業)の実施

○部活動ごとの挨拶運動・奉仕作業

○福岡女学院大学との連携事業の実施

生徒による地域実行委員会の設置

○地域や大学と連携した鍛える教育プロジェクト(保健体育科)の実施

 昨年度は、自治会担当、大学生代表、部伍会代表、ボランティア部代表、PTA代表、本校職員代表が参加するコミュニティ・スクールの実働組織である「東中コミュニティ推進委員会」を正式に設立し、その定期開催と内容の充実を目指して取り組みました。今後も、地域とともにあるコミュニティ・スクールのより有効な運営について創意工夫し、地域ぐるみの教育を推進して日本一の中学校を目指します。